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Q&A

和解後でも過払金を請求できますか?

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2022年7月13日

1 過去の和解と過払金請求について

過払金が発生した後に、債務額や返済スケジュールについて貸金業者と話しあって和解していた場合には、その和解の書類の中に、和解で決めた内容以外に債権債務はないという内容の一文が入れられることが多いです。

「債権債務がない」とは、お互いに請求するものがないという意味です。

そのため、形式的にみると、過払金が発生した後に、貸金業者との間でそういった和解をしてしまうと、過払金返還請求権がないことを認めたことになり、過払い金返還請求できないという結論になりそうです。

2 和解していても過払い金が請求できる事例も多い

たとえば、裁判外で、借金の返済が苦しい時に貸金業者と債務者が話あって和解をした場合には、和解をした当時、債務者側には過払金が存在するということをまったく理解できていなかった可能性があります。

そのような場合にまで、過払金返還請求権を和解によって失うという結論をとることは、酷な結論ですし妥当といえないと考えられます。

裁判例を見ても、仮に、過去に任意整理等によって借金の返済について和解をしていたことがあったとしても、その和解の際に過払金返還請求権について何らの交渉も行われておらず、過払金について双方が互いに譲り合うなどして和解したものでないのであれば、その和解によって過払金返還請求権が消滅することはないと判断したものが複数

あります(最高裁平成27年9月15日判例等)。

したがって、過払金の返還請求について、過去に和解をしたことがあったとしても、あきらめるのはまだ早いという結論になります。

3 和解時に元本が減ったかや、過払いが既に生じていたかがポイント

和解をしていても過払い金が請求できるかどうかは、法律上の争いがありますが、大きく分けて2つのポイントがあります。

1つは、和解をしたときに元本が減ったかどうかです。

元本が減ったのであれば、和解をしたときに過払い金があることを考慮して元本を減らした可能性が高いので、後に過払い金を請求するのは難しくなります。たとえば、弁護士に依頼をして任意整理をしていた場合で、きちんとその任意整理の際に弁護士が過払金も含めて交渉をして返済額や債務額を調整して和解をしていたような場合には、過払金返還請求権は、その和解で消滅したと評価される可能性が高いです。

第2に、和解したときに、実は法律で認められた利率で計算し直せば元本が減るだけでなく過払い金を返してもらえる状態になっていた場合は、借金が残っている前提の和解と大きく実状がずれていますので、後で過払い金の請求が認められる可能性が高くなります。

これ以外に、和解をしたきっかけや和解の際に業者とどのようなやりとりがあったかによっても、後に過払い金を請求できるかどうかが変わる可能性があります。

4 具体的な事案は弁護士に相談を

具体的な結論はケースバイケースとなりますので、まずは、過払金返還請求について豊富な経験を持つ弁護士事務所に相談することをお勧めします。

名古屋で過払金返還請求をお考えの方は、ぜひ一度、弁護士法人心にもご相談ください。

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